先日、某司法書士事務所で家族信託契約の話を聞いてきました。
家族信託は認知症対策として非常に有効です。実は既に私自身も母との間で信託を契約を交わしています。母親が生きてはいるけれど認知症等で意思表示出来なくなった際は、母親が所有する不動産を私が売って、その代金を母の余生のために使ってあげたいとの思いからです。
もし、この契約がなく重度の介護状態で施設に入ってしまうと不動産は相続発生まで売買できなくなってしまいます。相続財産としてもらう必要はなく、生きているうちに母のために財産を有効活用したい方には向いている制度です。
また法人オーナーが認知症になると事業存続の危機も考えられます。後継者が決まっている場合は自社株を信託しておくことで議決権を後継者に与えることが出来ます。
他にも遺言では出来ないような機能、例えば姻族に資産が流出しないようにしていくことも可能なので、相続財産を「一族」でしっかり管理したい方には向いているでしょう。
私が考える問題点は3つ。
一つ目はまず専門家が少ないこと。司法書士の中でもこの契約を組成できる人が少なく、経験値がマチマチであること。しっかりした専門家の見極めが重要です。次に家族信託自体がまだ始まって間もない制度なので各金融機関の協力体制がまちまちであること。これには時間が必要かと思います。ただ時代の流れから考えて金融機関もこの制度に対応せざるを得ない状況とは言えるでしょう。
3つめはコストです。相続財産の1%~2%がかかりそうです。財産額が少ないとパーセンテージは更に上がります。ちなみに先日例示された1億円の不動産ですと登記や税金等もろもろの費用全て込で1.9%くらいのコストでした。
問題点とメリットのバランスを考えた上で、相続対策の一つとしてお考えください。