昨日、ジャニー喜多川さんを例に
相続税が2割加算される例をこのブログに書いたところ、
なんと偶然にも私が師事している税理士の井上先生から下記のような
メールマガジンをいただきましたので、お裾分けいたします。

少子高齢化の影響で今後ますます相続税が2割加算される例が
増えていくと思います。
子どものいない家庭での具体的な相続対策の一例として
一般の方が読まれても興味深くわかりやすいお話です。

相続でお悩みの方に何かしらヒントになれば幸いです。

なお井上先生のメルマガ購読希望の方はコチラからどうぞ↓
経営者を元氣にする会報

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井上得四郎先生の「経営者を元氣にする会報113 ~ 兄からの相続」より

令和元年9月15日 

こんにちは、税理士の喜多村洋子です。
第6回目の投稿です。

私どもの事務所では、随時相続対策等スポットでのご相談やほかの税理士が関与する案件へのセカンドオピニオンも承っております。
今回は最近の事例から「兄からの相続」についてご案内します。

≪ご相談内容≫

私は会社経営をしていて年間3,000万円ほどの給与所得があります。
父はすでに他界していますが母は健在で、父から相続した戸建てに住み賃貸アパートを1棟所有しています。

兄弟は兄が一人、独身で子もいません。
兄は父から相続した賃貸アパートを3棟所有しています。
この兄が末期癌と診断を受けて、余命は半年ほどと言われています。
今何かしておけることはあるでしょうか。
また、兄が亡くなったときに相続税はどのくらいかかるのでしょうか。

≪確認及び検討事項≫

1.相続税の概算試算と相続放棄の検討

(1) 一次相続:兄の相続財産

不動産・金融資産合わせて3億円超、法定相続人はお母様一人です。
基礎控除後の課税価格が3億円の場合、相続税は1億800万円です。
相続税支払後の財産は2億2,800万円

仮に母が相続放棄をして弟が兄の財産を相続した場合、相続税は2割加算で1億2,960万円となります。
相続税支払後の財産は2億640万円

(2) 二次相続:母の相続財産

不動産・金融資産合わせて1億円超あります。
課税価格1億円に対する相続税は2,300万円です。

兄の財産を法定相続人である母が相続し、その後の母の相続時の課税価格が3億円と仮定した場合、相続税は1億800万円と見込まれます。

(3) 合計相続税額

兄の財産を母が相続した場合
一次相続の相続税は1億800万円
二次相続の相続税は1億800万円
 合計で2億1,600万円

兄の財産を弟が相続した場合
 一次相続の相続税は1億2,960万円
二次相続の相続税は2,300万円
 合計で1億5,260万円

ここまでの結論としては、2割加算があっても兄の財産は弟が相続したほうが合計で
2億1,600万円-1億5,260万円=6,340万円
相続税が少なくなります。

2.養子縁組の検討

1.で兄の財産は母が相続放棄したほうが、相続税は合計で6,340万円少なくなりました。
では、弟が兄の養子になった場合はどうでしょうか。

放棄の場合と異なり、養子縁組であれば実子とみなされますので「相続税額の2割加算」はされません。

弟が兄の養子になった場合
 一次相続の相続税は1億800万円
二次相続の相続税は2,300万円
 合計で1億3,100万円
最も少ない納税額となりました。

節税がすべてではありませんが、こういう方法もあるという選択肢としてご案内してみました。
今回は男兄弟同士の養子縁組で姓が変わることもなく、ほかにデメリットは何もないということなので早速手続きを開始されました。

3.その他の検討

兄所有のアパートは現在3割程度空室があります。
このままでは建物の貸家減額及び土地の貸家建付地評価が満額使えません。
弟は法人を経営しているので、兄所有のアパートを法人が一括借上げする方法も併せて提案しました。

喜多村税務会計事務所 所長税理士 喜多村 洋子
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