この本は2012年6月30日、東京大学で行われた29歳以下の若者向け講演会の講義録。

ビジネスブックマラソンの土井英司さんも
「若干、選民思想の匂いがしますが、それだけに本質を突いた議論となっています。」
と高く評価していたこと、それと衝撃的な事実を知っていましたので手にとりました。
(衝撃な事実は文末に)

本当はコレ、若者向けの本。

超大雑把に言うと、

「勉強して自分で考えて生きろ!」

ってメッセージなんだですが瀧本さんの話は
知性に溢れて無茶苦茶面白く読ませて頂きました。

【珠玉の一文】
「その人が過去に生きてきた人生とか挫折とか成功は盗めないんですよ。」

以下、テキトーに要約しながら刺さったところを。

・「自燈明」、ブッタがなくなる時、弟子たちに「これから私たちは何を頼っていける生きていけばいいのでしょうか」と聞かれてブッタは「わしが死んだら自分で考えて自分で決めろ大事な事は全て教えた」

・ジョージソロスが私財をはたいてコピー機をばらまくと、活動家が自分のビラをばらまくようになって民主化運動が盛り上がっていき、その結果、東欧の国々がソ連から独立するのに成功した(カリスマモデル)

・何かすごいリーダーをひとりぶち上げるより、世の中を変えそうな人をたくさんつくって、誰がうまくいくかわからないけれども、そういう人たちに武器を与え、支援するような活動をしたほうが、実際に世の中を変えられる可能性は高いんじゃないか(武器モデル)

・教養の役割とは他の見方、考え方があり得ることを示すことである。

・教養の中で1番に学ぶべきは「言語」。言語には伝統的に2つの機能、ロジックとレトリックがある。

・言葉には力がある。究極的にはアメリカ合衆国の大統領になれるほどの力を持つ。

・パラダイムシフトとは世代交代。

・交渉は相手と合意するために行うもの。

・モノを売ったり相手の関心を得るときに大切なのはセグメンテーションされた情報を与えると言うこと。(相手のニーズに応じたものと言い換えても良い。)

・交渉は言ったもん勝ちではなく、聞きたいたことを聞いたもん勝ち。

・投資するときは事業が全くうまくいかなくても誰かがその会社を買収したくなる会社にしか投資しない。

・(事業)アイデアに価値があるのではなく、メンバーの実行力が重要。

・アイデア自体はコモデティで競合がたくさんいても創業者にどうしてもやるべき理由があれば同じアイデアを話しても競合ではなく自分のところに優秀な人々が集る。

・黒澤明には期待通りの予算がつかなかったので、もらった予算を使ってクライマックスの前まで作った。それを映画会社の重役たちに見せ、追加のお金を出さないと全部ぽしゃりると脅した。

・ボン・ボヤージュとは自立した人間たちの挨拶。「よき航海をゆけ」という意。
自分の船を持っている船長っていうのはリスクを自らとっている人で意思決定者。航海に置いて決定をする立場にない船員はボン・ボヤージュって言う挨拶はしない。

・「俺たちはお互いに自分の判断でリスクを取っている」と言うことに対する敬意があるから余計な事は言わずにただ「よき航海を」という。

・結局2時間以上も話してきましたけど、「君はどうするの?」って話なんです

最後に衝撃的な事実を。
この本の中で「8年後の今日2020年の6月30日にまたここに再び集まってみんなでホームワーク(宿題)の答え合わせをしたいんです。」と語っていますが、2019年8月永眠。47歳。2012年ビジネス書大賞「僕は君たちに武器を配りたい」、「君に友だちはいらない」など数々の名著を残されました。ご冥福をお祈り申し上げます。