この本はタイトルにもあるとおり、「小さな会社」向けの本。
中小零細企業こそ、今回の補助金獲得の下心を持って学んではいかがでしょうか。

事業計画の助けととなる事例がふんだんに載ってます。この本によれば中小零細企業が経営計画を作る割合なんて1割程度だそうですから、アフターコロナ、ウィズコロナで生き残るヒントが隠されているかも知れません。

【珠玉の一文】
    「深く穴を掘れ。穴の直径は自然に広がる」

ご存知、やずや創業者のお言葉だそうです。スグによそ見してしまう私には、読むたびにハッとさせられる一言です。以下、この本の感想文です。

通常、この手のビジネス書というのは、著者自身の成功談を披露するものが多く、どれもストーリーは「醜いアヒルの子」である。イケてない著者が「画期的な方法」でブレイクスルーしてキレイな白鳥に生まれ変わるものが多い。キメ手となったのは真似のしようのない難しいノウハウだったり、属人的な要因ではないかと感じてしまう。

しかし、この本は違う。

この本では50以上の中小企業の成功事例を紹介しているのだが、どの企業も画期的なことをやっている訳ではない。誰でも出来ることを誰も出来ないほど愚直に続けているだけで、それは滑稽な感じさえする。

自動旋盤の販売で成功された鈴木さんの事例が好例である。この事例では鈴木さんの営業拡大策のひとつとして「毎朝1日1枚ハガキを書く」ことが紹介されているのだが、「毎日ハガキを書くと出す先がなくなってくるので、田舎の父親や母親、弟にも出しました。」と言う具合に華々しさがなく、ただ汗臭いばかりである。

これら全ての事例に共通すること、それは主人公たちがランチェスター戦略(弱者の戦略)に基づき、一見するとくだらないと思われがちな営業戦術や面倒な営業戦術を泥臭く実践することで成功をつかんでいることである。

ランチェスター弱者の戦略とは
①差別化
②小さな1位
③一点集中
④接近戦

この本に登場する主人公たちは皆、醜いアヒルの子である。
でも白鳥にはならない。
彼らは自らが弱者であることを忘れず、泥臭く「アヒルの大人」へと成長する。

そういう意味において、この本は「小さな会社」の経営者にとって、とてもリアルな話であると思う。
そしてこの本は読み手に「勇気」と「根気」と「本気」を問うている骨太のビジネス書である。

このブログは2016年12月にアマゾンにレビューしたものに加筆修正しました。
何度読んでも良い本です。ぜひ経営計画のお供にどうぞ。