なかなか公にはなりませんが、
相続のご相談で意外と多いのが税理士さんのお値段のご相談。

それも相続発生後に(笑)。
まあ生前対策する人が少ないから仕方ないことではあるのですが・・・。

一般の方々は「税理士」さんに対する信用度や期待値が高いので
言われるままに契約しているケースが多いようです。

また税理士選定に立ち会うと遺族間で妙に遠慮しあって
本当は長男が自分の気に入った人を選びたいのに
選ばないというケースもここ数回続きました。
(長男の良いように遺産分割が進むのではないか?
そう回りから思われるのが苦痛で、あえて自分の身近な
人間を選ばないという判断です。)

今回も私(髙野)の推薦する税理士の腕が良いのはわかっているけど
姉弟の手前、別の人を選びたいと言ってお断りされました。

そしてこの選択が不幸の始まりに・・・

この選ばれた先生の仕事が遅く、申告期限1か月前になっても税額が出せていない状況。
しかも当初期待していた「節税」案も何ら聞かせてもらえることなくガッカリ・・・。
(ちなみに、このお客様は相続発生直後から税理士選定に入っていますので、
動き出しが遅かったということはありません。)

そんなこんなで、ことあるごとに私も相談を受けます。
(相談というよりも愚痴ですが・・・)

そして昨日、言われたのが税理報酬の話。

実は契約の際に遺産総額の0.7%を税理士報酬とすることで双方合意していたらしいのですが
実際に申告の請求書を見て遺族側と税理士さんで意見が食い違ったのです。

遺族側は土地の評価減をした後の遺産総額3億に対する0.7%という認識であったのに対し
税理士側は評価減前の3億5000万に対する0.7%を主張。

遺産総額に5000万も開きがあるから0.7%でも35万も違ってくるわけです。

そこで、どちらが正解か私に聞きに来られたという訳です。

結論から申し上げますと、「その税理士さんとの契約書による」と回答しました。

この相談者、実は私の推薦した税理士さんと面談した際は評価減「後」の遺産総額に
パーセンテージをかける話でまとまっていたし、その話を持ち出した上で
今回顧問契約した先生と合意していたというのですが・・・

平成14年の小泉構造改革で税理士報酬も一律ではなくなりましたから
税理士さんとの契約の際もよくよく確認することが重要です。

ちなみに私が懇意にしていて、
今回推薦しなかった先生のホームページでは
遺産総額を以下のように定義していました。

*1 遺産総額とは、プラスの財産の総額のことであり、
借入金等の債務、小規模宅地の特例、生命保険非課税枠等の控除を
行う前の遺産総額となります。

こんな風にキチンとした説明を事前に双方が確認しない限り
今回のようなトラブルは防げません。

またこのブログをご覧になった方にもご注意いただきたいのですが
遺産総額に一律パーセンテージをかけるのが一般的とも言えません。

これらに加算される報酬もあるからです。
良く聞くのは、相続財産に占める土地の数、遺族の人数によっても
追加報酬が発生するというケースです。

また法人をお持ちの方は、自社株の株価評価もそれなりに
加味されるでしょうから注意が必要です。

金融の世界にせよ、税理士さんの報酬にせよ、
「自由化」によって様々な料金体系が出来ました。

なかには安くて良いサービスがあるのも事実でしょうけれど
逆に言うと、良い業者を選定する「目利き」が必要な時代でもあります。

人の不幸は蜜の味。人の振り見て我が振り直しましょう。

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